小部経典

3:ウダーナ

8.7. 分かれ道の経(77)

 このように、わたしは聞きました。或る時のことです。世尊は、コーサラ〔国〕で、旅の道を行く者(遊行者)としておられます。お供の沙門の尊者ナーガサマーラとともに。まさに、尊者ナーガサマーラは、道が途中で分かれ道になっているのを見ました。見て、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、世尊よ、こちらが道です。〔わたしたちは〕こちら〔の道〕を行きましょう」と。このように言われたとき、世尊は、尊者ナーガサマーラに、こう言いました。「ナーガサマーラよ、こちらが道です。〔わたしたちは〕こちら〔の道〕を行きましょう」と。

 再度また、まさに……略……。三度また、まさに、尊者ナーガサマーラは、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、世尊よ、こちらが道です。〔わたしたちは〕こちら〔の道〕を行きましょう」と。三度また、まさに、世尊は、尊者ナーガサマーラに、こう言いました。「ナーガサマーラよ、こちらが道です。〔わたしたちは〕こちら〔の道〕を行きましょう」と。そこで、まさに、尊者ナーガサマーラは、世尊の鉢と衣料を、まさしく、その場で、大地のうえに置いて立ち去りました。「尊き方よ、これが、世尊の鉢と衣料です」と。

 そこで、まさに、尊者ナーガサマーラが、その道を行きつつあると、道の途中で、盗賊たちが出てきて、〔両の〕手と〔両の〕足とで、〔尊者ナーガサマーラを〕打ち据え、鉢をも壊し、大衣をも引き裂きました。そこで、まさに、尊者ナーガサマーラは、鉢を壊され、大衣を引き裂かれたので、世尊のおられるところに、そこへと近づいて行きました。近づいて行って、世尊を敬拝して、一方に坐りました。一方に坐った、まさに、尊者ナーガサマーラは、世尊に、こう言いました。「尊き方よ、ここに、わたしが、その道を行きつつあると、道の途中で、盗賊たちが出てきて、〔両の〕手と〔両の〕足とで、〔わたしを〕打ち据え、鉢をも壊し、大衣をも引き裂きました」と。

 そこで、まさに、世尊は、この義(道理)を知って、その時に、この感興〔の言葉〕を唱えました。

 「〔真の〕知に至る者は、他の人とは〔適度な〕交わりをもつ――共に歩み、一緒に住みつつも。知ある者は、悪しき〔行為〕を捨棄する――白鷺の子が、低きを行くもの(水)を〔羽から振るい落とす〕ように」と。

 〔以上が〕第七〔の経〕となる。