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9テーリーガーター

11 十二なるものの集まり

11.1.  ウッパラヴァンナー長老尼の詩偈

母と、娘と、わたしたち両者は、夫を共にする者たちとして存していた。〔まさに〕その、わたしに、身の毛のよだつ、未曾有の、畏怖〔の念〕(回心の思い)が有った。

〔この身体は〕厭わしきものとして存せ。諸々の欲望〔の対象〕(身体)は、不浄で、悪臭があり、多くの荊あるもの。そこにおいて、母と、娘と、わたしたちは、〔同じ男に〕共に養われるべき者たちとして有った。

諸々の欲望〔の対象〕のうちに危険を見て、離欲〔の境地〕を「平安である」と見て、その〔わたし〕は、ラージャガハ(王舎城:地名)において、家から家なきへと出家した。

〔わたしは〕過去(前世)の居住を知る(宿命通)。天眼は清められた(天眼通)。さらには、〔他者の〕心を探知する知恵がある(他心通)。耳の界域は清められた(天耳通)。

わたしによって、神通もまた、実証された(神足通)。わたしによって、煩悩の滅尽は得られた(漏尽通)。〔これらの〕六つの神知(六神通)は実証され、覚者(ブッダ)の教えは為された。

わたしは、神通によって、四頭立ての馬車を化作“けさ”して、世の主“あるじ”にして如なる方たる覚者(ブッダ)の〔両の〕足を敬拝して、〔一方に立った〕。

〔悪魔が言った〕「あなたは、先端が見事に花ひらいた木へと近づき行って、独り、サーラ〔樹〕の根元に立ちます。そして、また、あなたには、誰であれ、伴侶は存在しません。愚かな方よ、あなたは、質の悪い者たちを恐れないのですか」〔と〕。

〔長老尼は答えた〕「たとえ、百千の、このような質“たち”の悪い者たちが集いあつまることに成るとして、毛〔の一本〕も動かないであろうし、動揺することもまた、ないであろう。悪魔よ、おまえは独りで、わたしに、何を為すというのだろう。

この〔わたし〕は、〔物の〕間に消え入ることもするし、あるいは、おまえの腹に入りもする。眉の間に立ちもするし、立っているわたしを、〔おまえは〕見ない。

わたしは、心において自在と成った者である。〔四つの〕神通の足場は善く修められた。六つの神知は実証され、覚者(ブッダ)の教えは為された。

諸々の欲望〔の対象〕は、刃と槍の如きもの。〔心身を構成する五つの〕範疇(蘊)にとっての断頭台である。〔まさに〕その、欲望〔の対象〕による歓楽を、おまえは説くが、今や、それは、わたしにとって、不満なるもの。

一切所で、喜び〔の思い〕は打破された。闇の集塊は破られた。パーピマント(悪魔)よ、このように知りなさい。死神よ、おまえは、打ち倒された者として存している」〔と〕。ということで――

 ……ウッパラヴァンナー長老尼は……。

 十二なるものの集まりは、〔以上で〕終了した。